<最新トレンド④>新世代のビジネスモデル - RAAS -
今回は新世代の小売ビジネスモデルといわれ、アメリカでも注目度の高いRaaSについて、b8taを例にご紹介します。
目次
RaaSモデルのパイオニア企業「b8ta」
最新のビジネスモデルRaaSとは?
RaaSが生まれた背景
RaaSのメリットは?
まとめ
RaaSモデルのパイオニア企業「b8ta」
昨年8月に日本上陸を果たしたb8ta、みなさんもう行かれましたでしょうか?まだ行ってない、b8taを初めて聞いた!という方のために簡単に説明しますと、b8taは2015年アメリカのサンフランシスコにオープンした、売るためでなく体験特化型のショールームです。従来のショールームとの大きな違いは2つ。
1つはVR機器、IoT家電、ガジェットを含めたスタートアップ企業などの最新の製品の体験スペースとして店舗を提供していること。
2つ目は店員がほとんどおらず、商品横に設置されたタブレットによる商品説明がされていること。
まだまだ一般には馴染みの薄いVR機器やIoT家電などの先進的なアイテムは、実際に触ってみないとよく分からない、なんてことありますよね。b8taなら声を掛けられなけらば、店員から必要以上のコンタクトはとらないので、気負わずに様々な最新機器を体験することができる、まさにユーザーファーストな企業です。(実際は、店舗にいるスタッフは個別商品について、事前にかなり研修をしているので、商品知識は豊富。質問にはしっかり答えてくれます!)
ちなみに先日私が訪ねたb8taヒューストン店には、こういった家電商品がありましたので以下ご紹介します。
イギリスで生まれた、目覚まし時計兼コーヒーや紅茶を自動で抽出するBarisieur(バリシュー)。
淹れたてのコーヒーや紅茶の香り、そしてコポコポと湧き上がる水の音で一日の始まりを知らせてくれる、なんとも贅沢な目覚まし時計です。
UV-Cライトとオゾンの技術でメイクブラシのウイルスや細菌を殺菌してくれるメイクブラシサニタイザー。
億劫になりがちなブラシの手洗いから解放されるだけでなく、1回の充電で最大50回使用可能なのも嬉しいポイント。
3DセンサーとAIを使用し、ユーザーの動きを追跡することでパーソナライズされたガイダンス、フォームフィードバックをくれるスマートホームジム、Tempo Studio。
これさえあれば、家に居ながらにして質の高いパーソナルトレーニングの指導が受けられる、特に人込みを避けたいパンデミック渦にあると最高な商品です。
RaaS(Retail as a Service)とは?
前述の内容は消費者視点によるb8taの説明ですが、b8taが小売業界内で話題になっている理由はそれだけではありません。
b8taが業界の注目を浴びる所以は最新のビジネスモデルRaaSを基に展開した企業だからです。前置きが長くなりましたが、今回のブログではこの「RaaS」についてみなさんにお伝えしていければと思います。
「RaaS」とはRetail as a Serviceの略で、店舗が区画で区切られ、出展企業が月額の費用を払えば、ブランドの体験の場を提供するだけでなく、企業へマーケティングデータも提供してくれるという新しいビジネスモデルです。
RaaSが生まれた背景
このコンセプトが生まれた背景は、以下2つといわれています。
1つは消費者の購買意思決定プロセスの変化。
2つ目は消費者の購買行動がシームレスになっていること。
昨今の消費者の購買意思決定プロセスはSIPS(Sympathize=共感、 Identify=確認する、 Participate=参加する、 Share&Spread=共有、拡散する)というプロセスを辿っているとされています。オンラインショッピングは利便性を高めたかもしれませんが、喜びという要素においては私たち消費者を満たしているとは言えません。そのためD2Cなどのオンライン小売業者はAmazonにはない顧客サービスを提供するためにも、そして新たな顧客にアプローチするためにも、オンライン販売の枠を超えた消費者との繋がりを、求めるようになりました。
また消費者行動調査によると、消費者は購入の意思決定をする前に、オンとオフの両方の行動を組み合わせていることが分かっています。ゆえに例えお客様が来店し、購入せずに帰ってしまったとしても、お客様の体験がポジティブなものであれば、どのようなチャネルであっても最終的には購入してもらえるという考えが定着しつつあるのです。こうした購買における意思決定プロセスの変化、そしてデジタルテクノロジーによって得られたデータをもとに、オンラインと店舗には相関性があると分かったことで、RaaSというコンセプトが生まれました。
RaaSのメリットは?
RaaSのメリットはズバリお客様が見えること、そして費用やリスクを抑えることができる、この2点に尽きます。特にメーカーは仲介業者や販売業者を介して販売するため、今までお客様と直接関わることができず、どのように自社製品と接し、どのような問題を抱えているのかを知る機会はほとんどありませんでした。しかしb8taはこれまでの仲介業者とは異なり、各店舗に導入された高度な技術を駆使し、出店企業に様々な顧客データを提供しています。
例えばb8taの場合、店舗に何台もの高解像度3Dカメラが設置されているので、メーカーはどの店舗で、どんなお客様が自社製品に興味を持っているのかを、文字通り映像で見ることができるのです。さらにb8taが提供するプラットフォームを使えば、データにいつでもアクセス可能で、インサイトが毎日のように配信されるため、商品開発やデザイン、マーケティングなどをデータに基づいて判断できるようになっています。
RaaSの2つ目のメリットは、出店企業が店舗の規模や場所に応じた月額の導入費用をb8taに支払えば、実店舗全体をサポートするための不動産、労働力、さらには在庫レベルの投資をすることなく、企業が消費者に自社製品の体験の場を提供できることです。b8taのCEOのVibhu Norby氏によると、企業が自らでやるよりもb8taを通じて行えば、少なくとも50%は安いと述べています。
まとめ
いかがでしたでしょうか?RaaSは「つながり」や「共感」などの感覚的な要素とテクノロジーがうまく融合した、現代的で、洗練されたビジネスモデルだということをこの記事でみなさまにお伝えできていたら嬉しいです。今後b8taのようなRaaSのコンセプトを持った企業が日本でも生まれる日はそう遠くないかもしれませんね。
個人的な話にはなりますが、商品ラインナップは地域性があるので、筆者は次の日本一時帰国の際は有楽町店と新宿店どちらも行ってアメリカ店舗との違いを楽しみたいと思っています。オンラインとオフライン、両方強化する必要があるのは分かるがそこまで手が回らない!といった小売企業には最適なサービスですので、まずはぜひ一度店舗に足を運んで、実際に体験されることをオススメします!