2024年ホリデーセールの最新トレンド:ブラックフライデーとサイバーマンデーの盛り上がり
アメリカはクリスマスを目前に、ホリデームードが漂っていますが、リテールの観点でいうと、クリスマスに向けた購買活動が一年で最も盛り上がる時期がThanksgiving (今年は 11/28) の前がBlack Friday やCyber Mondayといったナショナルセールで盛り上がります。
ブラックフライデー(Black Friday)とは?
感謝祭(11月第4木曜日)の翌日に始まる、大規模なセールの日です。この日、多くの小売店が大幅割引を提供し、年末商戦のスタートとして注目されています。最近ではオンラインセールも増え、セール期間も数日にわたることが多いです。
サイバーマンデー(Cyber Monday)とは?
ブラックフライデーの直後の月曜日に行われる、オンライン限定のセールです。特に家電やガジェットなどの割引が多く、ブラックフライデーと並ぶ年末商戦の重要なイベントです。
今年のThanksgivingの週末には約1億9700万人がオンラインおよび店舗で買い物をしたといわれ、これは昨年の2億40万人からわずかに減少した数字です。しかし、全体的な売上は昨年を2.5~3.5%上回る見込みです。今回のThanksgiving セールの傾向を最新トレンドと一緒にまとめたいと思います!
1. 成功したブランドとカテゴリー
2. 苦戦したブランドとカテゴリー
3. 2024年のトレンド
4. まとめ
1. 成功したブランドとカテゴリー
Eコマースプラットフォーム
ブラックフライデー当日のオンライン売上は、Adobe Analyticsによれば前年同期比10.2%増の108億ドルに達しました。特にAmazonは記録的な売上を達成し、独立系セラーの商品が全体の60%以上を占めました。また、Shopifyに加盟しているオンラインストアはブラックフライデーからサイバーマンデーにかけて115億ドルの売上を記録し、前年同期比24%増となりました。
ディスカウント小売店
WalmartやTargetなどのディスカウントストアは、長引くインフレで苦しむ消費者に支持されました。特にWalmartは、ほぼ全ての部門で顕著な客足増加を示し、ブラックフライデーの勝者として際立ちました。(ただし、Target は2024年後半、在庫過多の問題に直面し、業績に影響を及ぼしました。第3四半期の既存店売上高は前年比0.3%増と予想を下回り、通期見通しも下方修正。現在店頭は値下げの赤値札が多め。)
また、Dick's Sporting Goodsはミズーリ州やニューヨーク州で長蛇の列ができる人気でした。同社の店舗在庫とオンラインストアを連携させた「Buy Online, Pick Up In Store(BOPIS)」モデルが功を奏し、多くの消費者がオンラインで注文し、店舗で迅速に受け取り、店舗の混雑を抑えながらも売上を最大化することに成功しました。
美容・アスレチック関連店舗
SephoraやBath & Body Worksなどの美容関連店舗は高い来店者数を記録しました。また、Alo YogaやVuoriといったミレニアルズ、Gen Z世代に大人気のファッションアスレチックウェアの店舗も、通常は価格帯が高いため、セール期間は大きな注目を集めました。
2. 苦戦したブランドとカテゴリー
・デパート
伝統的なデパートは今年も苦戦し、ブラックフライデーの店内客足は全体で3.2%減少しました。特に中西部で7%の減少、南部で3.5%の減少が見られました。
Macy's
店内客数が前年比で減少し、特に衣料品セクションが苦戦。競合するオンライン小売業者との価格競争に対応しきれず、割引率が消費者の期待に達していなかったとの指摘があります。
Nordstrom
高級志向の消費者をターゲットとしていますが、感謝祭セールでの価格設定が他社と比較して魅力に欠け、店内客足が減少しました。
Kohl's
中低価格帯の顧客層をターゲットにしているものの、競合するディスカウントストア(Walmart、Target)に客を奪われました。特にブラックフライデーの値引きが他と比べ控えめだったとの声も。
・専門店
電子機器や家具など、裁量的カテゴリーに特化した店舗は、深い値引きを行う必要があり、利益率に影響を与えました。
Best Buy
家電と電子機器に特化していますが、消費者はAmazonやWalmartのオンラインプラットフォームでの購入を優先。新製品に対する値引きが少なく、売上が伸び悩みました。
GameStop
ゲーム市場の需要は引き続き高いものの、競合するオンラインストアやダウンロード販売に押され、店頭での売上が低迷しました。
3. 2024年のトレンド
早期プロモーション
AmazonやWalmartのような大手小売店は、10月から「プレブラックフライデーセール」を開始し、予算重視の買い物客を取り込む戦略を実施。最近はThanksgiving の一か月前からプロモ―ションをはじめる企業も増えてきています。インフレに苦しむ消費者がお得なセールを待ちわびていることも背景にありそうです。
モバイルショッピング
モバイルデバイスを通じた購入は感謝祭当日のオンライン売上の59.5%を占め、モバイルコマースの重要性がさらに高まっています。店舗を持つ優位性を活用し、オンラインでオーダーし、店舗で受けとるBOPISスタイルも売り上げの促進に寄与しています。
後払い(BNPL: Buy Now, Pay Later)サービス
「後払い」サービスを利用したオンライン購入額はブラックフライデーにおいて前年比8.8%増の6億8630万ドルに達しました。
4. まとめ
2024年のホリデーセールは、利便性の高いオンラインショッピングの拡大と、インフレに苦しむ消費者にとってメリットのある早期プロモーションの成功が際立った年となりました。一方、従来型のデパートや専門店は厳しい競争の中で戦略の見直しが求められています。
これらの動向は、消費者の購買行動がますますデジタル化し、利便性や価値を重視する方向へシフトしていることを示しています。来年以降も、このトレンドを捉えた柔軟な戦略が小売業者にとって成功の鍵となるでしょう。
参考記事
https://www.spglobal.com/ratings/en/research/articles/241112-u-s-holiday-2024-sales-outlook-consumers-will-trim-trees-and-spending-this-season-13317716?utm_source=chatgpt.com
https://www.reuters.com/business/retail-consumer/costco-beats-quarterly-sales-estimates-2024-12-12/?utm_source=chatgpt.com
https://www.retaildive.com/news/winners-losers-black-friday-2024-online-store-sales/734236/?utm_source=chatgpt.com