2月28日最新 -トランプ政権の関税政策と日本への影響
世界中が今後の行方を見守っているトランプ政権のTariff =関税政策。2025年初頭、ドナルド・トランプ大統領は米国の貿易関係を見直し、国内産業を保護する目的で、新たな輸入関税を導入しました。BOUSのクライアントの商品もMade in Japan, Made in China の商品がほとんどで、実施によっては大幅な値上げ、売上の減少が見込まれる重大な問題です。今回は関税政策の概要と、その中でも特に日本に向けられた関税の影響について、2月28日時点の最新情報をもとに詳しく解説します。
目次:
1. トランプ関税の概要
2. 日本への関税の詳細と影響
3. 米国経済、米国民への影響
4. 今後の展望
1. トランプ関税の概要
2025年2月1日、トランプ大統領は以下の関税措置を発表しました。
メキシコ・カナダからの輸入品に対して25%の関税
中国からの輸入品に対して10%の関税
日本からの輸入品に対して5〜15%の関税(自動車には15%)
EUからの輸入品に対して25%の関税
ビジネスマンであるトランプ大統領の交渉の材料として扱われた部分も多分にあり、その後各国との取引の中で状況は以下のように変化しています。
①メキシコ・カナダからの輸入品に対する25%の関税
発表内容: 2025年2月1日、トランプ大統領はメキシコとカナダからのほぼすべての輸入品に対して25%の追加関税を課す大統領令に署名しました。
適用状況: 当初、これらの関税は2月4日から適用される予定でしたが、2月3日にトランプ大統領はメキシコとカナダに対する関税の適用を1か月間延期すると発表しました。 その後、3月4日に関税を発動すると表明しました。
②中国からの輸入品に対する10%の関税
発表内容: 同じく2月1日に、中国からの輸入品に対して一律10%の追加関税を課すことが発表されました。
適用状況: この関税は2月4日から適用が開始され、その後3月4日にはさらに10%上乗せされ、合計20%の関税となる予定です。
③日本からの輸入品に対する5〜15%の関税(自動車には15%)
発表内容: 2月1日の発表では、日本からの輸入品に対する具体的な関税率や対象品目についての詳細は明らかにされていません。しかし、2月13日にトランプ大統領は「相互関税」の導入を検討する大統領覚書に署名し、これにより日本を含む国々からの輸入品に対して新たな関税が課される可能性が示唆されました。
適用状況: 現時点(2025年2月28日)では、日本からの輸入品に対する具体的な関税措置はまだ実施されていません。今後の交渉や政策の動向によって、関税の詳細が決定されると考えられます。
④EUからの輸入品に対する25%の関税
発表内容: 2月1日の発表では、EUからの輸入品に対する25%の関税について具体的な言及はありませんでした。しかし、後の報道で、トランプ大統領がEUからの輸入品に対して25%の関税を検討しているとの情報が伝えられています。
適用状況: この関税措置については、具体的な適用時期や対象品目などの詳細はまだ発表されていません。今後の公式な発表を待つ必要があります。
2. 日本への関税の詳細と影響
対象となる品目と税率
今回の関税措置において、日本は特に以下の品目において影響を受けると考えられます。
①自動車(15%)
トヨタ、ホンダ、日産など日本の主要自動車メーカーが直接的な影響を受ける。
米国市場における日本車の価格が上昇し、販売台数の減少が懸念される。
一部メーカーは米国生産へのシフトを検討中。
②電子機器(5〜10%)
日本の半導体メーカーや電子機器メーカーが打撃を受ける。
アップルやインテルなど、米国内企業の生産コストも増加する可能性。
③鉄鋼・アルミ(25%)
すでに過去の関税対象となっていたが、今回はさらに強化され、日本の鉄鋼業界にとって大きな打撃となる。
建設業や自動車産業など、広範な分野でコスト増加を引き起こす。
④その他の工業製品・消費財(5〜10%)
家電、精密機器、化学製品など多くの品目が影響を受け、米国内での価格上昇が予想される。
3. 米国経済、米国民への影響
経済影響①消費者物価の上昇
関税は輸入品に対する追加の税金であり、輸入業者はそのコストを消費者に転嫁する傾向があります。その結果、以下のような影響が予想されます。World Economic Forum
食品価格の上昇: メキシコやカナダからの農産物(果物、野菜、穀物など)に対する25%の関税により、これらの食品の価格が上昇し、消費者の家計に直接的な負担が増加します。
エネルギーコストの増加: カナダからの石油や天然ガスに対する関税は、米国内の燃料価格の上昇を招き、特に中西部地域でのガソリン価格が急騰する可能性があります。 Wikipedia
日用品の価格上昇: 中国からの輸入品に対する10%の関税は、衣料品、電子機器、家庭用品などの価格上昇を引き起こし、消費者の購買力に影響を与えます。
経済影響②インフレの進行
関税による広範な価格上昇は、全体的なインフレ率の上昇につながります。連邦準備制度理事会(FRB)は、関税がインフレを押し上げる要因となることを懸念しており、金利政策の見直しを迫られる可能性があります。
経済影響③製造業への影響
関税は米国の製造業にも多大な影響を及ぼします。特に、自動車産業や電子機器産業は以下のような影響を受けると考えられます。
生産コストの増加: 輸入部品や原材料に対する関税により、製造コストが上昇し、最終製品の価格にも反映されます。
サプライチェーンの混乱: 北米自由貿易協定(NAFTA)加盟国との間で築かれたサプライチェーンが関税によって混乱し、生産効率の低下や納期の遅延が発生する可能性があります。
国民影響①価格上昇への懸念: ブルームバーグ・ニュースが委託したハリス・ポールの世論調査によれば、米国成人の約60%が関税が物価上昇につながると予想しています。
国民影響②購買行動の変化: 調査会社ヌメレーターのデータによると、消費者の76%が関税への対応として、セールやクーポンの利用、輸入品の購入削減、米国製品への切り替えなど、家計や購買行動の見直しを検討しています。
国民影響③駆け込み需要: 一部の消費者は、価格上昇前に商品を購入しようとする「駆け込み消費」を行っており、これが一時的な需要増加を引き起こしています。
4. 今後の展望
現在のところ、日本向けの関税措置は明言されており、実施されると特に自動車業界が大きな影響を受けると見られます。しかし、今後の交渉次第では関税撤廃や一部軽減の可能性もあります。日米の経済関係は依然として強固であり、両国政府と企業の対応が今後の貿易環境を左右することになるでしょう。最新情報に注視し、今後の展開を見守りましょう。また何かあればUpdateしたいと思います!
参考:
https://www.whitehouse.gov/fact-sheets/2025/02/fact-sheet-president-donald-j-trump-restores-section-232-tariffs/
https://english.kyodonews.net/news/2025/02/d5a33d853097-update3-trump-says-us-tariffs-on-imported-cars-to-come-around-april-2.html
https://www.reuters.com/markets/us/new-york-fed-research-flags-new-inflation-vector-tariffs-china-imports-2025-02-26/
https://www.wsj.com/economy/trade/the-tariff-pain-is-getting-real-for-chinese-companies-624ecb55