アメリカ市場進出を目指す日本企業のための規制ガイド

アメリカ市場は大きなチャンスが広がっていますが、輸出・販売をするには、複雑な規制をクリアする必要があります。さらに、アメリカは各州ごとに異なる法律や規制があるため、連邦規制だけでなく、進出予定の州のルールも事前に確認することが重要です。今回は日用品、食品、玩具、ビューティー・パーソナルケア製品についてのアメリカでの輸入・販売に必要な基本ルールを分かりやすくご紹介します!


1. ホームグッズ(家具・キッチン用品・家電)

ホームグッズを輸出する際には、製品の安全性や環境基準に注意が必要です。

  • CPSC(消費者製品安全委員会):火災、電気ショート、機械的なリスクを防ぐための安全基準をクリアする必要があります。特に電気製品はUL(Underwriters Laboratories)認証を取得していると市場での信頼度が上がります。

  • FTC(連邦取引委員会):原産地表示やエネルギー効率の記載、環境負荷に関する表示が求められる場合があります。

  • EPA(環境保護庁):塗料や接着剤、仕上げ材に含まれる化学物質(ホルムアルデヒド、VOCなど)に関する規制があり、特定の州ではより厳格な基準が適用されます。

  • 州ごとの規制

    • カリフォルニア州:「プロポジション65」により、有害物質を含む製品には警告表示が義務付けられます。  

    • ニューヨーク州:リサイクル可能な素材の使用が義務付けられており、特にプラスチック包装の使用制限が進められています。

2. ビューティー・パーソナルケア製品

アメリカでは、化粧品やスキンケア製品の安全性に対する規制が厳しく設定されています。

  • FDA(食品医薬品局):化粧品は医薬品ではないため、FDAの事前承認は不要ですが、特定の成分(色素、防腐剤など)はFDAの認可が必要です。

  • GMP(適正製造基準):品質管理のための基準に従い、衛生的な製造プロセスを確立することが推奨されます。

  • ラベル表示:成分リスト、使用方法、製造元情報、製造・使用期限を英語で明記する必要があります。SPF表示がある場合はFDAの承認が必要です。

  • 動物実験規制

    • カリフォルニア州やネバダ州では、動物実験を行った化粧品の販売が禁止されています。

    • ハワイ州:特定の紫外線吸収剤を含む日焼け止めの販売が禁止されており、環境に配慮した成分のみ使用可能。

3. 食品・飲料

食品を輸出する場合は、食品安全基準やラベル規制をしっかりチェックしましょう。

  • FDA登録:海外の食品製造施設は、アメリカFDAに事前登録が必要です。

  • FSMA(食品安全近代化法):食品の輸送や保管において、HACCP(危害分析重要管理点)などの安全基準を守る必要があります。

  • USDA(米国農務省):肉類、乳製品、卵製品はUSDAの検査が必要で、輸出前に認可を取得する必要があります。

  • ラベル表示:栄養成分表示、原材料リスト、アレルゲン情報、賞味期限、カロリー表記を明確に記載。

  • 州ごとの規制

    • バーモント州:遺伝子組み換え食品(GMO)の表示義務。

    • オレゴン州:特定の食品添加物の使用が禁止。

4. 玩具・子供向け製品

子供向けの商品は、安全基準が特に厳しく設定されています。

  • CPSC基準:誤飲、感電、窒息、ケガなどを防ぐための設計基準が求められます。

  • ASTM F963:アメリカで販売する玩具はこの安全基準をクリアする必要があります。

  • 鉛・フタル酸エステル規制

    • イリノイ州:鉛含有量に関する基準が連邦基準より厳しい。

    • ワシントン州:特定の化学物質を含む子供向け製品の販売が規制。

5. 一般消費財

  • CBP(税関・国境警備局):適切な書類(商業インボイス、船荷証券、原産地証明書など)を準備し、事前に関税率を確認。

  • 関税・輸入税の確認:商品カテゴリーや原産国によって関税が異なりますので、適切なHSコードを使用することが重要です。

  • 環境規制

    • ワシントン州:電子機器のリサイクルプログラムが義務付けられています。

    • マサチューセッツ州:有害廃棄物の処理に厳格な規制あり。

進出前にやるべきこと!

アメリカ市場で成功するために、以下のポイントをしっかり押さえましょう。

  1. 規制をしっかりリサーチ:連邦レベル、州レベルで必要なルールを確認。

  2. 必要な登録・許可を取得:FDAやCPSCなどの関連機関への登録を済ませる。

  3. 現地パートナーを見つける:アメリカ市場に精通した販売代理店や流通パートナーと連携。

  4. コンプライアンス戦略を立てる:社内ルールを整備し、規制違反を防ぐ仕組みを作る。

アメリカの規制は複雑で、特に各州の規制は常に追加、改変がなされており、最新情報を知ることがとても重要です。各商品やカテゴリによって規制は変わりますので、より具体的な情報については、日通や三井物産といった輸出入業者、または貿易専門家に相談してください。

 

 

参考:
https://www.fda.gov/food/food-imports-exports/importing-food-products-united-states
https://www.ul.com/resources/state-regulations-chemicals-consumer-products
https://iclg.com/practice-areas/consumer-protection-laws-and-regulations/usa
https://blog.sourceintelligence.com/us-pfas-regulations-by-state
https://kresgeguides.bus.umich.edu/Trade/US-Import-Requirements
https://www.fda.gov/about-fda/what-we-do/what-does-fda-regulate
https://www.compliancegate.com/us-state-product-safety-regulations/
https://koenji.clinic/archives/3027
https://www.bureauveritas.jp/magazine/180611/006 

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