シカゴ・ハウスウェア 2025展示会レポート
アメリカ市場を狙う日本企業にとって、シカゴで開催されるThe Inspired Home Show(旧:International Home + Housewares Show)https://www.theinspiredhomeshow.com/ は、日用品業界の最新動向をつかむ重要な場の一つです。今回は、実際に展示会に参加して得た印象や、現在のアメリカ市場の変化、日本製品への関心の高まりについてレポートします!
目次
1. シカゴ展の概要
2. South Hall vs North Hall:集客力の違い
3. 展示会の縮小傾向とシカゴ展の重要性
4. アメリカの関税と仕入れの変化
5. 日本製品への関心の高まり
6. まとめ
1. シカゴ展の概要
The Inspired Home Showは、世界最大級のハウスウェア(家庭用品)関連の展示会で、シカゴのマコーミック・プレイスで年に一度3月に開催されます。毎年、世界中から数多くのメーカー、バイヤー、小売業者が集まり、最新の家庭用品、キッチン用品、収納アイテムなどを紹介する場となっています。
2. South Hall vs North Hall:集客力の違い
今回、久しぶりにSouth Hallに出展したのですが、その集客力の違いに驚きました。これまでNorth HallのDesign Sectionで3年間続けて出展していましたが、South Hallの人の多さや活気の違いは明らかでした。今年から調理を含んだデモンストレーションの実施ができなくなったため、全体に盛り上がりが落ちた印象はありましたが、Kitchen関連の有名ブランドが集まるSouthは、出展社も多く、ブースにも費用がかかった豪華な装飾が多く、バイヤーの関心を引いていました。
とはいえ、収納やランドリー、バスルーム関連などのキッチン以外の商品に関してはやはりNorth Hall の必要があります。このあたりは、どのエリアにブースを構えるか(できる限り前方中央!)慎重に検討し、根気強く主催者と交渉を行う必要があります。
3. 展示会の縮小傾向とシカゴ展の重要性
これは業界全体で言われていることですが、アメリカの展示会は年々縮小傾向にあります。出展社の数も減っており、今回も多くのバイヤーから「今年はさらに出展企業が減った」という声を聞きました。
とはいえ、アメリカのホーム・キッチン業界においてシカゴ展は依然として重要な展示会です。なぜなら、ハウスウェア系で有力な展示会はシカゴ展とドイツのAmbiente(アンビエンテ)くらいしかなく、多くの企業にとって選択肢が限られているからです。特にアメリカの大手小売店は年始の展示会を重要視する傾向が強く、国内の有力バイヤーが集まるため、アメリカ市場を開拓したい企業にとっては、出展する価値が十分にあります。Ambienteと比較すると、アメリカ市場に特化したバイヤーとの商談がしやすいのがシカゴ展の魅力と言えます。
4. アメリカの関税と仕入れの変化
今回の展示会は、3月4日の新しい関税(Tariff)発動の直前ということもあり、バイヤーの仕入れ戦略が大きく変化しているのを感じました。
特に、Made in Chinaに依存しない仕入れ先を探しているバイヤーが多く見られました。中国からの輸入コストが上昇する中で、バイヤーたちは代替となるサプライヤーを積極的に探している状況です。
この流れは、日本企業にとって大きなチャンスです。バイヤーの間では、「高品質で信頼できる商品を提供する国はどこか?」という視点での見直しが進んでおり、日本製品の魅力が再評価される場面が増えています。
5. 日本製品への関心の高まり
上記のTariff による消去法的な理由以外にも、今回のシカゴ展では、「Japan」への関心が非常に高まっていると実感しました。
ブースでは、壁に「Japan」を大きく打ち出し、POPを設置することで、バイヤーからの好意的な反応を得ることができました。中国依存を減らしたいバイヤーが、日本製品を積極的に探していたためです。
また、アメリカ国内でのインバウンド市場の急成長により、「Japan Food」に関連するセクションを新たに設けたいという声も多く聞かれました。特に、
日本製の調理器具や食器
日本の食品や食材に関連した商品を探すバイヤーの増加
といった点に関心を示すバイヤーが増えていました。さらに、アメリカ市場だけでなくカナダのバイヤーもMade in China以外の製品を探しており、日本製品への注目が高まっています。
6. まとめ
今回のシカゴ・ハウスウェア展示会では、
✅ South Hallの方が集客力が高い(業種による違いはある)
✅ アメリカの展示会は縮小傾向だが、シカゴ展は依然として重要
✅ 関税の影響でMade in Chinaの代替を探すバイヤーが増加
✅ 日本製品への関心が高まり、新たなビジネスチャンスが生まれている
ということを実感しました。繰り返しになりますが、アメリカ市場を本格的に狙うなら、シカゴ展はまだまだ外せない展示会です。特に、品質の高さが評価される日本企業にとって、今後数年間は大きなビジネスチャンスとなるでしょう。(日本製品にTariff が発動されないことを祈って。。)