<最新トレンド②>Skintone-Inclusive-肌色の多様性-

 近年アメリカでは多様性という言葉がかつてないほど重要視されています。そんな中でも今回は肌色の多様性に注目し、いくつかの例をまとめてみました。

 

 2017年は美容業界にとって、さらには小売業界にとっても大きな年でした。そのきっかけとなったのが「Fenty Beauty」です。「Fenty Beauty」は歌手のリアーナが立ち上げた化粧品ブランドで、すべてのスキントーンのための40種類のファンデーションを発表した時、美容業界は大きく揺れました。さらに店頭に並ぶと、最初に最も濃い色味のファンデーションが売れ、消費者がインクルーシブなメイクアップブランドの登場を待ち望んでいたことが確認されたのです。

こうして「Fenty Beauty」は他の化粧品ブランドたちに、多様性は後回しではなく、優先事項であることを認識させました。

 さらに2020年のジョージ・フロイド氏の恐ろしい死を受けて、人種的不平等に関する世界的な議論が活発化したことも、人種ひいては肌の色の多様性に社会が注目している大きな要因です。アメリカでは1,500万人から2,500万人以上の人々が抗議活動に参加していますが、これは黒人コミュニティの人々だけではありません。抗議参加者の半数以上(54%)が白人であり、過去の人種的抗議活動とは明らかに異なる点です。さらに、街頭に立っている最大のグループは、アメリカの新しい世代を代表しており、35歳以下の参加者が大半を占めています。また今日のアメリカの人口の50%はZ世代、ミレニアム世代であり、そしてアメリカのマイノリティとされる人たちの60%が同じくZ世代、ミレニアム世代であるとの調査結果も出ています。こうした動きを受けて、現在では美容業界だけでなく、近年あらゆる小売り業界で多様性やインクルージョンに取り組む企業が増えています。

 この記事では、スキントーンインクルーシブな商品を提供する数ある企業の中から4ブランドをご紹介したいと思います。


  1. Band-Aid

日本でもお馴染みのジョンソン・アンド・ジョンソンのバンドエイドは黒人や褐色な肌によりマッチした色合いの3色(茶色と黒の肌色のライト、ミディアム、ディープシェード)の販売を開始しました。

2005年に同じようなコンセプトで販売するも、思った売り上げが出ず失敗に終わったバンドエイドでしたが、来年には複数の肌色の包帯を発売する予定です。






 2. Knix

Knix(ニックス)は、2012年にJoanna Griffithsによって設立され、オンタリオ州トロントに拠点を置く、女性用のアンダーウェアとアパレルのブランドです。

2020年Knixは「Knix Nudes」という、"さまざまな肌色"にマッチする5色のカラーバリエーションを発表しました。このコレクションの大きな特徴は、生理用ショーツ(防漏機能)の

機能を備えた下着をヌードカラーで提供する初めての下着ブランドということです。また「Knix Nudes」は、サイズ展開を初めてのXXXLまで拡大するなど、サイズインクルーシブな活動

も進めています。



 3. Crayola

ペンシルバニアに本社を置くアメリカの画材専門メーカーCrayole社は国連の「対話と発展のための文化的多様性のための世界デー」に合わせて、さまざまな肌の色を表現する「Colors of the World」を発表。クレヨンパックには、子供たちが自分の好みの色を簡単に見つけられるように、カラーリファレンスとしてサイドパネルが付いており、また、それぞれのクレヨンは、「Light Golden」、「Deep Almond」、「Medium Deep Rose」といったリアルな色名を持つグラデーションの肌色ラベルで包まれています。


いかがでしたでしょうか?私はこの記事を通して様々な肌の色に触れ、「自分にとっての肌色は、誰かの肌色とは違う」という当たり前のことを改めて実感し、また人間の持つ肌の色の美しさ、多様性を再確認できました。

 昨今欧米の小売企業ではSkintone-Inclusiveの他に、Body-Inclusive、Age-Inclusiveなど様々な多様性、包括性に向けたアプローチが行われています。まだ始まったばかりではありますが、企業の社会的責任と利益どちらも満たすこうした試みは、日本国内のマーケットでも支持されるのではないでしょうか。

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